ふるさとづくり

松並木講演会「草加の松をいかにして守るか」参加レポート

草加の松並木を守る為にどのような取り組みが行われているのか、植物好きな身としては、とても興味があったので、

主催 特定非営利活動法人ちえぞう・やるぞう
共催 草加市奥の細道市民推進委員会
後援 草加市・特定非営利活動法人今様草加宿・草加宿神明庵運営協議会

にて開催された、松並木実演会・講演会に参加しました(令和6年1月7日 )。

 

松の木に必要なメンテナンスについて

草加の市民の方に愛されている景観、草加松並木。

まず冒頭に、この松の木ですが、残念ながら、全国的には本数が減少しているとのことです。

その原因には様々ありますが、逆の目線で、まずは松の木に必要なメンテナンスをまとめてみました。

  1. 剪定(せんてい)

    松の木には不要な枝が生えやすいため、剪定が必要です。成長した枝やクロスした枝を切り、木の形を整えることで通気性が向上し、健康な成長を促進します。

  2. 水やり

    特に乾燥した気候や、土壌の乾燥が進んでいる場合は、適切な水分補給が必要です。しかし、松の木は乾燥に強い樹種であるため、過剰な水分も避けるべきです。

  3. 土壌管理

    松の木に適した土壌条件を維持するためには、適切な肥料を与えることが重要です。栄養素が不足している場合は、適切な肥料を選んで与え、土壌を健康に保つことが必要です。

  4. 害虫と病気の予防

    松くい虫や松材線虫、松枯れ病などが松の木に影響を与える可能性があります。定期的な検査と予防措置が必要です。適切な農薬や防除措置を行い、感染を防ぐことが重要です。

  5. 支柱やサポートの設置

    若い松の木や風の強い地域では、木を支えるための支柱やサポートが必要な場合があります。

  6. 冬季のケア

    寒冷地域では、冬季に凍結や風害から木を保護するための対策が必要です。特に若い木は冬の保護が重要です。

 

樹幹注入作業

今回は講演会の前に、実際に樹幹注入作業の実演を、松並木にて見学する機会を得ました。

害虫や病気に対抗するため、樹幹注入によって防除薬を木に投与することがあります。これにより、木がこれらの病害虫から保護されます。

動画に収めることができましたので、是非、ご覧ください。

 

松枯れの原因:マツノマダラカミキリとマツノザイセンチュウ

今回は、害虫による松枯れの原因についてをメインに詳しく、説明をいただきました。

正直なところ、こんなことが原因で松が枯れるのか・・と衝撃が多かったです。

マツ材線虫病と言われる、マツノマダラカミキリとマツノザイセンチュウが原因の病気を今回、初めて知りました。

 

マツ材線虫病は、マツ材線虫がマツの木を侵し、木材内で増殖して木を枯死させる病気です。感染が進むと、広範なマツ林が影響を受ける可能性があり、特に材木産業や生態系に悪影響を及ぼすことがあります。

マツノマダラカミキリとマツノザイセンチュウの説明は下記のとおりです。

マツノマダラカミキリ(Pine Sawyer Beetle)

松の木に対して害を与える大型なカミキリ科の昆虫です。主にマツの木を対象にし、その木の内部で成長します。以下に、マツノマダラカミキリに関する主な特徴と生態について説明します。

特徴:

  • 外観: 大型で、成虫は黒色または暗褐色の外観を持ち、特に長い触角が目立ちます。
  • 体長: 成虫の体長は一般的に3センチメートル以上になることがあります。
  • 生息地: 松の木林や森林地帯に生息し、特に成長途上の松の木を好むことがあります。

生態:

  1. 卵: マツノマダラカミキリの寿命は短く、数週間から数か月と言われています。成虫は木の表面に卵を産み付けます。
  2. 幼虫: 孵化した卵から孵った幼虫は、マツの木の内部で生活します。木の中で材を食べ、成長します。
  3. 成虫: 幼虫は成長すると、木から表面に出てきて成虫になります。成虫は通常、木の表面に穴を開けて外部に出ます。

マツ材線虫病との関係: マツノマダラカミキリは、マツ材線虫(Bursaphelenchus xylophilus)を媒介する可能性があります。マツ材線虫はマツの木を侵し、木材内で増殖して木を弱体化させ、最終的には枯死させることがあります。マツノマダラカミキリが木に穴を開け、その際にマツ材線虫が感染することが問題とされています。

このような害虫による被害を最小限にするためには、早期の発見と適切な防除措置が必要です。専門の植物学者や農業専門家によるモニタリングと管理が行われ、感染木材の適切な処理が行われることが重要です。

 

マツ材線虫(Bursaphelenchus xylophilus)

ネマトーダ門に属する微小な線虫で、マツの木に寄生して被害を与える害虫です。この線虫が引き起こす病気は「マツ材線虫病」と呼ばれ、広葉樹には感染しない特異性をもっています。マツ材線虫病は特に日本をはじめとするアジア諸国で深刻な問題となっています。

  1. 感染経路: マツ材線虫は、一般的にマツノマダラカミキリなどの昆虫によって媒介されます。これらの昆虫が感染した松の木からマツ材線虫を持ち帰り、他の健康なマツに感染を広げます。
  2. 病気の進行: マツ材線虫がマツの木に感染すると、木材内で増殖し、樹木の導管を塞ぎながら水分や栄養を奪います。これが進行すると、木の水分供給が妨げられ、木はしばしば褐変し、最終的には枯死します。
  3. 影響: マツ材線虫病は、特にマツ林やマツ材産業にとって深刻な影響をもたらします。枯死した木は利用できなくなり、マツの林業における経済的損失が発生します。
  4. 防除措置: マツ材線虫病の拡大を防ぐためには、感染木材の移動制限や、感染が確認された地域での積極的な駆除が必要です。また、感染源となる昆虫の管理やワクチンの研究も進められています。

日本では、マツ材線虫病に対する防除や管理が重要な課題となっており、様々な研究や対策が進められています。

 

<説明会で使用されたパネル>

マツ材線虫病に対処するためには、早期の発見と適切な管理が重要です。専門の植物学者や農業専門家による監視や防除策が取られることが一般的です。

 

草加市の松並木を守るためにできること

草加市では4年ごとのサイクルで松並木の634本全ての松の木に、上記、樹幹注入を行っているとのことです。つまりは1年間に約160本づつメンテナンスされている計算で、今度の注入で一巡するとの報告でした。薬剤の効果は6〜7年あるとのことです。

引き続きのメンテナンスをお願いするとともに、みどり公園課では、これらの薬剤の費用等に当てる目的で、募金活動も行っているようです。

限られた市の予算の中でのやりくりです。
募金に関しては、みどり公園課までお問い合わせください。

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