活動報告・啓発活動

総務文教委員会 視察レポート

昨年総務文教委員会にて行政視察にいった際の報告です。

新城市(オンラインにて)・桶川・嬉野・佐世保の4つの自治体の取り組みを視察しました。

視察結果について、委員全員で草加市にも取り入れられるのかを、委員会にて審議いたしました。

以下、視察テーマごとに私見を添えてまとめ、最後に全体のまとめを記載しました。

 

若者議会について

新城市の若者議会は、新城市からニューキャッスル・アライアンス会議(同じ名前の都市<ニューキャッスル=新しい城=新城>が同盟を結んで、2年ごとに話し合いや交流を行う国際会議)に参加した学生のボランティア活動を、市が支援したことからスタートした事業。

その活動にメンターと役付けられているOBや、若手の市の職員が携わることで、継続して事業が維持されている。

初めての人でも入りやすい雰囲気作り(すごろく等の活用)がなされ、若者議員になると同時に加入することになる若者議会連盟が、フィードバック等の活動のフォローをしている。

参加者は概ね16歳から29歳まで。

応募者多数の場合には、書類審査が入る。審査は、応募者はまちの課題やどういうまちにしたいか等を記述して提出。それに点数がつけられ判断される。

片側では、事業は条例化されており、そのことで継続して取り組まれている側面もある。

実績としては、これまで約50の提案が可決されている。

効果としては、町の仕組みやまちそのものの理解が参加した若者に培われることが挙げられる。

課題は若者の意見と、実効性に差があること。

将来の展望に関しては、まだこれからの検討となる。

 

<私見>

草加市においても、若者の市政への関心、及び若者の政治への関心を養う意味でも、新城市の取り組みを参考にしながら、若者議会を進めていき、次世代への投資を行うべきだと考えます。ただ事業として継続していく為には、若者議員の成り手を育成する仕組みと議会後の若者へのアフターフォローを行う仕組みがキーになるかと。例えば、議会勉強会のような、若者議員になる前の準備期間を設けることで、誰でもスムーズに活動ができるよう助走期間を設けてはどうでしょうか。また議会後は反省会兼、親睦会を設けて、「また参加したい」と思わせる投げかけを継続的に行うようことは必須だと考えます。

 

図書館行政

桶川図書館は平成26年のリニューアルに伴い、図書館をよりよくする為に面積を2、5倍にした。

その際、書店のマルゼンさんよりコラボの話をもらい、本屋と図書館が一緒という、ある意味相反したアプローチではあるが、よい方向に相乗効果が生まれ利用者の満足を得ている模様。一例として図書館で勉強している最中、参考書が欲しいので買いに行くといったことが起こっているようである。

またカフェを併設したことで、借りたり、買ったりした本を、すぐその併設しているカフェで読むこともでき、スペースに新たな付加価値を生み出させている。

更には図書館・書店の前にはイベントスペースもあり、時折、さまざまなイベントが行われている。それらはまちの賑わいの創出に加え、図書館を利用してもらうきっかけにもなっている。

なお図書館は、指定管理者が管理をしている。指定管理者による管理の方が、市民ニーズを踏まえた運営ができている模様。上記のイベントも指定管理者が運営を行なっている。

司書資格者は、57パーセント。

草加市と比較した際、利便性において、中央図書館は劣っていないと思います。

図書館をもっと身近に感じてもらう為の取り組みは、市の文化教育を助長していく上で必要なことだと考えます。

 

<私見>

視察を終え、本を読むためだけの図書館だけではなく、何か別の付加価値と結びつけた図書館を検証していく必要性を感じました。まずは現在のニーズにあった図書館のあり方を、今一度検証してみることが、草加市でのこれからの図書館運営に必要なことだと考えます。

 

メタバースを活用したにぎわい創出について

嬉野市

佐賀県嬉野市は、お茶、陶磁器、そして温泉を有する観光のまち。

コロナ禍が終わり、西九州新幹線の開通で(まだ一部本線が開通していないが)景気回復基調にあるが、観光客を増加させることが課題となっている。

そこでメタバースを活用し、それを新たな交流拠点として、観光DXに取り組んでいる。

導入に関わるコストにおいては、国の補助を受けながら実施。5年間で5億の費用を要している。

主な取り組みとしては、SNSと連動させて、まちのイベントをメタバース上で紹介したり、メタバース上に名所案内を作り、まちをPRしている。今後においては、メタバースを活用しての事業をさらに作り上げていき、整理をして事業を組み立てていく模様。ただし、国からの事業支援を終えた後の、費用の捻出は大きな課題となっている。

なお、嬉野市はメタバースと自動運転との2本柱でまちのスマート化に取り組んでいる。

 

<私見>

メタバースにおいては、視察前は積極的にメタバースを取り入れ、まちをPRすることに大きな可能性を見出していましたが、今回の視察にあたり様々なメタバース空間を見て回りましたが、まだメタバースの利用者が少なすぎることが、一つ大きな課題として挙げられます。また、観光支援を目的にメタバースを利用すると、多大な費用がかかることがわかりました。草加市に置き換えた場合、観光支援を目的としたメタバースのアプローチは、まだ時期尚早のように思います。ただ、メタバース空間は使い方によっては、さまざまな可能性を秘めているのは確かだと思います。引き続き、メタバース業界の今後の動向を追いながら、検証を続けていくことが必要だと考えます。

 

佐世保(VR)

佐世保市は元は造船のまち。

針尾送信所は平成25年に重要文化財に指定。

まちの課題は人口減少。現在は草加市より少ない23万人。

現在は観光に力を入れており、IRの誘致にも奮闘している模様。

市への訪問者数は、25年には15000人、平成30年には31124人。

コロナによる訪問数減に伴い、令和3年にその対策としてVRを導入した。

文化財である送信所を、遠足の場所にしたり、送信所でスポーツ大会、演奏会他、様々なイベントを開催して集客に結びつけている。

もっと人を呼び込む為に、カジノの誘致と、外国人へのアピールを進める反面、文化財の保護は、歴史の一コマを未来につなげていく大事な仕事として、職員の方が誇りを持って取り組んでいる様子が伺えた。

これらの取り組みは職員の方が相当地元の人と話をして、地域の人の理解を得て成し得ていることで、きちんと成果を出していることは抑えるべき大事な点。

PRのツールとしてVRは有効だと判断し、継続して取り組みを進めていく模様。

ただしアフターコロナとなった今、「行った気になれる」ツールとして作成されたものを、「行くことができる」社会になった今、どう活用していくかは、今後の課題の一つ。

いずれはこれらの取り組みがお金を生み出す、経済効果をもたらすものにしていきたいとの事。

 

<私見>

とにかく、クオリティーが高いVRや映像を作り、それを必死にアピールして物事を進めている職員の方の努力に感銘を受けました。その成果がTVドラマの場所にも起用され(17才の帝国)、文化財整備と観光整備がうまく結び、佐世保市はさらなるまちの発展を見込める状況にあると思います。取り組み内容もさることながら、取り組み姿勢に大きな学びがありました。

草加市で導入を検討するには、何を1番、市民の方と共有していくべきかをよくよく検討して、市と市民の方々が一体となって進めていけるよう体制を作ることからがスタートのように思います。そのためのノウハウがまだ少ないと思われるので、まずは簡単にできそうなテーマで取り組み、経験値を高めていく中で、大きな取り組みにシフトしていく方法が望ましいかと思います。

 

まとめ

視察を終え、「すごい!」と思うことは多々あったものの、冷静に見ると、タイミングや状況によってその方向に進んでいった結果のようにもうけとれました。

だけどそんな中で、とにかく住民の方との多くの話し合いの場をもって、物事を前に進めていくプロセスを、どの自治体も大切にされていることに感銘をうけました。これは行政を進める上での大事なポイントだと思います。

市民の方と行政をうまく繋ぐ役割を、しっかり担ってまいります。

 

<市議会のホームページにも、報告が公開されています>

http://www.soka-shigikai.jp/shisatsu_houkoku.asp

 

なお、最終的に委員会での集約内容については、12月での委員会にて、委員長より報告をさせていただきました。

以下、その要約です。(議事録より抜粋)

若者議会について

<見解>投票率が上がらない社会情勢や若者が政治に興味を持っていない状況を鑑みると、一つの手段として若者議会を開催し、若者の政治参画を促していくことは賛成だが、若者議会委員が定員割れしたり、提案された内容が事業化されても継続されていないという課題もあったため、形骸化されないような検討が必要ではないか。年間1,000万円の予算提案権が足かせになって中々進めづらいと思う。

<これまでの調査を踏まえ>継続的に若者の意見が市政に反映される体制を構築することが必要であるという認識を持つに至った次第。

図書館行政について

<見解>分館を設置するに当たり、公共施設の複合化や建て替えに併せてだけでなく、桶川市のように民間施設内に併設することも可能性があると感じた。
今後の図書館の在り方について、果たして10年後や20年後に図書館が設置されていることが当たり前なのか。例えば、将来、メタバースなどを使って図書館そのものの役割が変わったりすることも考えられるため、図書館自体の今後の役割を検討した上で方向性を決めていく必要があるのではないか。
インターネットの普及などによって、図書館に求められる役割が少しずつ変わってきていると感じる。今の図書館に投資をしていくことも大事ではないか。
民間のノウハウを生かし、市民が気軽に本を手に取れる環境を整備するべきではないか。

<これまでの調査を踏まえ>財政状況を勘案しながら、民間のノウハウを生かし、市民が気軽に本を手に取れる環境を整備する必要があるという認識を持つに至った次第であります。

 

メタバースを活用したにぎわい創出について

<見解>嬉野市や佐世保市のような、国や県の補助金等をうまく活用できるような体制づくりが必要で、その結果として、メタバース事業を進められたらいいのではないか。本市でメタバースを活用したにぎわいを創出するとなった場合、コロナ禍が収束されてきてバーチャルからリアルの時代に変わってきていることや、立地的に観光地だけでは推せないため、あまりイメージが沸かない。一方でメタバース自体は非常にいいシステムだと思うため、今後も継続して勉強していくことはいいのではないか。不登校支援など、別の観点からメタバースを有効的に活用できるのではないか。
にぎわい創出という観点でメタバースを活用することにニーズがあるのかが掴めなかった。限られた予算の中で、本市で導入することは難しいのではないか。メタバース空間上の人口が少なく、利用者が少ない現状を目の当たりにしたため、本市で導入することは時期尚早ではないか。

<これまでの調査を踏まえ>本市の現状を鑑みると、メタバースを活用した観光施策は時期尚早であるが、今後の状況を鑑みながら、メタバースをはじめとした新しいツールを用いた技術を活用し、市政に反映できるよう検討していくべきという認識を持つに至った次第であります。

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