活動報告・啓発活動

総務文教委員会 行政視察報告書(2024年7月11日)

総務文教委員会にて、中核市について、近隣の川越市と越谷市を視察してまいりました。

それぞれの市の中核市移行までの経過、取り組み、課題や問題点、そして私見についてまとめました(視察報告書の部分は後日、市議会ホームページにも掲載予定です)。

中核市とは何かを含めて、説明・報告いたします。

 

中核市の定義と役割

中核市(ちゅうかくし)とは、日本の地方自治体の一形態であり、一定の要件を満たした市が都道府県からの独立性を高めた自治権を持つことを指します。

具体的には、人口20万人以上の市で、政令指定都市よりは小規模ですが、通常の市よりも多くの行政権限を持つことができるのが特徴です。

中核市の制度は、地方分権を促進し、地域の特性に応じた自治体運営を実現するために導入されました。

 

中核市の役割と課題

中核市の役割は、多岐にわたります。まず、地方分権の一環として、地方自治の強化が挙げられます。

中核市は、都道府県から移譲された権限を活用して、地域の特色を生かした政策を推進することが求められます。また、広域的な課題に対しても積極的に取り組むことで、地域全体の発展に寄与しています。

しかし、中核市にはいくつかの課題も存在します。例えば、財政面での課題です。中核市は、通常の市と比べて広範な行政サービスを提供するため、財政負担が大きくなります。そのため、効率的な財政運営が求められます。また、行政権限が拡大することで、市職員の専門知識やスキルの向上が必要となります。さらに、地域住民との連携を強化し、市民参加型の行政運営を実現することも重要な課題です。

 

視察報告書

川越市

「蔵造りの町」川越市は、市長のリーダーシップのもと、平成15年4月に中核市に移行。

中核市のメリットとして挙げられていたことは、川越市の実状にあったサービスの展開ができること(身体障害者手帳の交付において事務処理期間の短縮、保健所・産業廃棄物に関する監視が強化できる、都市の知名度の向上等)、デメリットとしては、市の責任が重要になったことや、専門職の人材の育成が必要不可欠になり、移動部署が限定してしまうことで退職につながること等が挙げられていた。尚、中核市の移行にあたっては、59名の職員を増員したとのこと。

財政面への影響としては、移行に伴う歳入・歳出の収支は、当初決算ベースで約13億7千万円の歳入増であった。ただ将来の見立てとして、いつかは情勢によって歳入と歳出の差の縮小が見込まれていた。現状はその通りとなっており、もしも中核市にしてなかったらと想定した場合、したことによって導かれた財源収支は、トントンか、もしくはマイナスに転じているかもしれない模様(行政の収支構造は複合的なので、正確な算出は困難です)。

視察を終えて草加市での中核市化はどうなのか・・・を考えると、詳細な説明を受けて感じたことは、将来の交付金額が確実なものではない上に、新たな事務事業の構築や費用の算出、人材確保など、多くの課題をこなさなければならず、現在の草加市の体力ではメリットよりリスクの方が高いのではと思わざるをえませんでした。市政運営と財政状況が安定した状況が進めば、その時は市民サービスのニーズが中核市にすることで応えられるのかをしっかり見極めた上で、検討の余地はあるかと思います。


<川越市議会 議場にて>

 

越谷市

2015年4月、特例市から中核市に移行。きっかけは、市長の公約にて。移行までには概ね4年半かかっている。

移行当初、マイナス要素はなかったとのことだが、課題としては、委譲事務に関わるコスト、専門職の採用難が挙げられていた。また移行後に、福祉の分野で法改正がなされ、中核市にならなければ発生しなかった業務(負担)が発生するといった、想定していなかった新たな課題が増えた経緯があったとのこと。

市民の方の反応は、「中核市になったことを知らない」との回答が2割あったが、保健所の開設や、福祉施策の向上には期待が集まったとのこと。実際、コロナの時には保健所があったことで、フットワークよく対応できたことは、市民サービスの向上につながったのではとの所感あり。

尚、現在の課題は、医師(公衆衛生に携わった医師)・獣医師・専門職の確保、専門職の管理職の育成、埼玉県保健所との連携等が挙げられていた。

越谷市においては、財政面では、普通交付税における基準財政需要額の増加により、財源が保障されているものと考えているそうで、どちらかいうと財政よりは、課題として挙げられていた専門職の人材の確保・育成に苦慮されている印象を受けました。草加市で進めていくことを考えた場合、人材の確保の面においては、待遇面ではおそらく越谷市には敵わず、その意味ではかなりシビアな採用展開になる懸念を持たざるを得ませんでした。

 

総じて、越谷市・川越市の2市の視察を通して中核市の移行については、角度を変えてみると、県が迅速かつ滞りのない対応ができ、利便性を踏まえた公平感のある対応施設の配置等ができるのであれば、中核市でなくても問題ないのではという考えにも至りました。つまりは県への要望を強くしていくことで、県にさらに地域に根付いた住民サービスの向上をはかってもらうよう働きかけることを、「中核市にすれば」いう概念に縛られずにもっともっと推し進めていくのも、一つのあり方だと思います。この側面も頭において、移行への可能性を探ってまいります。

 


<越谷市議会 議場にて>

 

まとめ

今後の中核市の展望としては、地域の自立性を高めつつ、持続可能な発展を目指すことが求められます。特に、少子高齢化や人口減少といった社会的な課題に対して、柔軟かつ効果的な対策を講じることが重要です。また、デジタル化の進展に伴い、スマートシティの実現を目指した取り組みも期待されています。

しかし、財政面や人材面での課題も存在するため、効率的な運営と住民との連携が求められます。引き続き可能性を探ってまいります。

 

 

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