はじめに 一般質問内容について
・市議会 一般質問にて取り上げた内容を掲載します。
・ここでは、議場で読み上げる為の原稿を掲載しております。実際の質問の場では、若干その場で言い回しは変えている箇所もございますが、その点はご了承願います。
・実際の中継は、下記リンクよりご確認願います。
また、埼玉維新の議員のYouTubeチャンネルもございます。
そちらにてこれまでの中継や、他市町村の議員の中継もございますので、是非ご覧になってください。
事業総点検について
前段、前回の2月の議会にて、予算委員会もありましたことから「厳しい財政状況」という言葉を多く耳にしました。
草加市の財政状況に関しては、時々市民の方からも、「草加市は大丈夫なの?」という心配のお声をいただいております。そんな懸念を私自身も抱いていることから、その点を踏まえて質問させていただきます。
さて執行部の皆様におかれましては限られた財源の中で、日々ご尽力いただいている中で恐縮ですが、草加市の財政状況を単純に数字だけを横並びで見ると、直近、過去5年間の推移においては、各年度ごとのやりくりはあるものの、個人的には3つの懸念点があるかと思っております。
一つは、財政の弾力性を見る、経常収支比率が軒並み90%以上である点
一つは、財政の余力ともいうべき「財政調整基金」の大幅な切り崩しが見られる点
そして、歳入の地方債と性質別歳出の公債費の元金のバランス、言い換えると、借りるお金が返すお金を上回っている状態が続いている点です。
これらの点におきましては、昨年12月議会の一般質問にて、佐藤憲和議員が取り上げておりましたので、その内容の詳細の説明は割愛しますが、これらに対して、執行部のお答えの中に、そのまま議事録より言葉を拝借いたしますが、
近年では当初予算における財政調整基金繰入額が非常に多額となっており、繰越金を充ててもその年度の財政調整基金からの繰り入れを解消できず、交付税措置のない単なる借金となる地方債の借入額が増加していることに加え、基金への積み立てによる将来に向けた備えができていない状況となっております。
との答弁がありました。
原因として大規模事業の重複が急激な財政の圧迫、学校をはじめとした、公共施設の老朽化が進み設備の更新の必要性があること、市民ニーズの多様化、民生費の増加、物価高工事費の高騰等が挙げられており、その対策としては、これは市長から答弁がありおましたら、稼ぐ力の検討、既存事業を精査し、健全で持続可能な財政運営を目指すことに取り組んでいく旨の答弁がありました。
そこで今年度、その一環で事業総点検を行う流れとなっているかと思いますが、その中身、内容については、まだ実施していく旨の報告にとどまっており、詳しくは公表されていない状況だと思います。
予算の編成に当たっては、大半の自治体では各課、各部より必要な予算を集めてそれを査定する形を取っているかと思いますが、この点におきましても、懸念点を抱いております。
どういうことかと言うと、草加市においては、この4月に職員さんの人事異動がありました。かなり大規模な人事異動であったと思われます。人事異動は職員さんのスキルアップを図り、職場の活性化につながる、必要な人事施策だとは思いますが、事業総点検においては、今回これがマイナスに働かないないかを懸念しています。
担当者や課長クラスの方の担当領域がガラッと変わってしまった印象があるので、配属された新たな部署の施策の内容がよくわからないまま時間が進み、充分な精査がされることなく、事業総点検の話が進んでしまわないかということです。
また別件になりますが、草加市の財政白書を見て思うのは、現状分析がしっかり行われており、財政上の課題がどこにあるのかがきちんと示されておりますが、残念なのは、その課題に対する今後の見通しや、具体的な改善策が盛り込まれていないことが挙げられるかと思います。中長期のビジョンをしっかり示すことが、今このタイミングでは必要なことではないかと個人的には思っております。ネットで「財政健全化計画」のようなワードで検索してもらうと、民間の事業計画のように、数字で将来の計画をうたっている自治体もありますので、これらは公開しても差し支えのない情報ではないかと思われます。
まとめると、この総点検は事業の将来性と事業費用についての双方の適合性が問われることとなるかと思います。ですので、いわゆるマイナスシーリングのような、ある意味数字合わせに終わってしまったら、これはこれでその場限りの対策、つまりは市長の言われる中長期視点の欠如が指摘されてしまうかと思います。この点についても個人的には懸念しております。
これらの采配は非常に難しいとは思いますが、いずれにしても、ここにいらっしゃる市の幹部の方々の充分な議論が必要だという認識でおります。
これらのことを踏まえて質問4点です。
1 改めて事業総点検の目的についてお示しください
2 すでに点検に入られていられるかと思いますが、具体的な進捗状況を教えてください
3 どのような基準で事業を点検していくのかお示しください
4 改めて今後のスケジュールをお示しください
【答弁】
事業総点検について、順次ご答弁申し上げます。
① 初めに、事業総点検の目的についてでございます。平成21年から約4年間に渡り、国が実施した事業仕分けにつきましては、国の予算、制度その他国の行政全般の在り方を刷新するとともに、国、地方公共団体及び民間の役割の在り方の見直しを行ったものでございますが、今回実施する事業総点検につきましては、各部局室で実施している全ての事業の現状を把握するとともに、事業の目的や内容を確認し、事業の統合や再構築を含めた事業内容の見直しに向けた検討・調整を進めるものであり、厳しい本市の財政状況を踏まえ、歳入の確保と歳出の適性化を図るため、事業改善等に向けた一定の方向性を見出すものでございます。
② 次に、現在の進捗状況についてでございます。点検の進め方といたしましては、各部局が行う1次点検、総合政策部が行う2次点検、1次点検と2次点検の評価に相違があった事業を評価する3次点検、学識経験者や市民の方からの意見を伺う4次点検を行う予定でございます。
現在の進捗状況といたしましては、総合政策部が中心となって2次点検を行っているところでございます。
④ 次に、今後のスケジュールについてでございますが、現在行っている2次点検終了後、3次点検を実施いたします。3次点検の内容といたしましては、1次点検と2次点検で評価が異なった事業を対象とし、所管外の参事級職員が複数で評価を行います。その後、3次点検結果について、市長を本部長とする地域経営推進本部会議において、各事業の外部評価の必要性を判断した上で、4次点検を行っていく予定でございます。
4次点検実施後には、1次点検から4次点検での評価を総括した上で、再度、地域経営推進本部会議において、市として最終的な方針を決定し、令和7年度以降の予算編成に反映してまいります。
【再質問】
1 1次点検がすでに終了したとのことですが、何をどのように点検されたのかお示しください
2 判断基準として、性質を踏まえた有効性、金額を踏まえた妥当性や優先性などの6つの視点が挙げられておりましたが、それらは何か、詳しくお示しください
3 スケジュールの説明がありましたが、こちらももう少し詳しく 2次点検の終了の時期 3次点検、4次点検のスケジュール感をお示しください
【再質問 答弁】
① 初めに、1次点検の点検内容についてでございますが、事業を所管する部署が、令和3年度から令和8年度までの予算・決算、今後見込まれる経費などを整理するとともに、有効性、妥当性、優先性等の視点から、それぞれ改善の余地がないかを判断し、事業ごとの課題と改善策、歳入確保の可能性などを多角的に検討の上、各部局室において事業の方向性を評価しております。
② 次に、判断基準の詳細についてでございますが、判断基準は、「不可欠性」、「市が実施する必要性」、「有効性」、「金額の妥当性」、「公平性」、「優先性・緊急性」の6つの視点がございます。1点目の「不可欠性」については、将来の市民ニーズとの適合について、2点目の「市が実施する必要性」については、行政サービスとしての必要性について、3点目の「有効性」に関しては、事業目的に対する効果、他の自治体との水準の比較、運用や成果の状況について、4点目の「金額の妥当性」に関しては、効果に対するコストバランスと経費削減の余地について、5点目の「公平性」については、事業の効果やコストを踏まえた公平性の適正について、6点目の「優先性・緊急性」に関しては、類似する事業・施設等と比較の上、優先度・緊急度を判断しているものでございます。
③ 次に、今後のスケジュールについてでございますが、2次点検に引き続き、3次点検は6月下旬から開始し、7月中には点検作業を終える予定でございます。その後、地域経営推進本部会議において、それぞれの個別事業の外部評価の必要性を判断した上で、8月下旬から9月にかけて4次点検を行う予定でございます。
高年者施策について
次の質問は、第四次草加市総合振興計画 実施計画2024 施策18の総合的な高年者施策の推進に基づく質問です。
主として、市の高年者施策の考え方、そしてちょうどタイミングよく広報6月号にて、第9次草加市高年者プランの策定の特集をしていただいており、その内容に関することと、さらには昨年、私自身が、介護に関しての一般質問にて取り上げてきた内容についての、その後の進捗確認を踏まえた内容にて質問いたします。
まず前段としては、これら高年者施策が含まれる民生費は、毎年増え続けていく状況にあります。今回の広報6月号には、草加市で介護が必要な人と、介護給付の必要金額の予測が数字で示されておりました。それによれば令和8年度では、市内で介護が必要な人の数は12300人、介護給付金は188.2億との見込みとなっており、この介護給付費に関しては2年後の令和8年には、今より14億円増える試算となっている旨が公表されておりました。
このように民生費の中のでも金額インパクトの大きい各種保険を含めた高年者施策について、今後どう考えていくべきかについてですが、個人的な見解としては、
・緊急かつ重要なこと
・緊急ではないが重要なこと
の2軸は抑えておくことが重要だと考えております(ちょっと脱線しますが、これはご存知の方も多いかと思いますが、こちらは書籍「7つの習慣」で紹介された時間管理の考え方です。ちなみに緊急ではないが重要なこと、これは本の中では、第2領域と言われておりますが、ここが一番重要度の高いタスクだと言われています)。
広報の話に戻しますが、高年者施策の課題においては、「みんなで介護予防に取り組むことが重要だ」と示されています。この点に関しては、私も全く同意見です。介護予防は、緊急ではなく重要なことに当たると思います。
ではまずは、この緊急ではなく重要なことだと思われる事に対しての質問に移ります。
一つ目は、根本的な質問ですが、
1 そもそも高齢者は何歳、何歳以上の方を対象として定義しているのかをお示し下さい
2 次に、高齢者プランは3年ごとに作成されていらっしゃいますが、時代は急速に変化を遂げており、そもそも高年者の生活背景や生活スキルは大きく変わっているかと思います。
例えば、一昔前であれば60歳で定年、あとは年金暮らし・・・みたいな将来設計が主流だったかと思われますが、現在は寿命が伸びたことで、これからは65歳〜70歳くらいまでは普通に働く世の中になっていくことが示唆されています。そこで必要になる高年者施策は、パソコンやスマホ教室ではなく、働き口を確保する・・・といったことになってくるのではないかと思います。語弊がないようにお伝えすると、パソコン、スマホ教室が悪いと言っているのではありません。
この辺りの時間、時代の移り変わりを加味して、高年者プランは将来をしっかり先回りして作成されることが必要だとは思いますが、そのことについて市の見解をお示しください。具体的にこれから概ね何年くらい先を見越しての、そのうちの3年間の計画として事業計画を立てているのか、この辺を踏まえてお示しください。
次に高年者プランに関することで、基本方針7にて「介護現場の人材確保及び介護者・被保険者支援の推進」があり、基本目標(1)にて、「介護現場の人材確保」があります。将来に備えて介護人材を確保しておくことも、全く緊急性がないとは言えませんが、緊急ではなく重要なことに含まれる内容だと思いますが、
3 昨年、質問させていただいた、介護資格取得の補助手当についてですが、改めて、直近の制度補助利用者の推移をお示しください。
4 また、同じく資格習得に当たっては、昨年の質問で、業者だけに限定している点を緩和、言い換えると希望するなら市民の方への補助を要望させていただきました。4万〜10万前後とそこそこの費用がかかるこれらの資格で、その道のスペシャリストを目指す介護福祉士の受験資格には専門機関を経ていない方には実務者資格が必要な資格となります。資格取得の補助は全額でなく一部補助だとしても、これは市内の介護人材の底上げと育成、また、介護を必要とする、もしくは介護の道を進もうと希望する市民の方のニーズに応えることにつながり、かつそれが介護人材の裾野を広げ、市としての介護の将来への備えにつながることだと考えますが、こちらも改めてその後の市の見解をお示しください。
5 またプランには介護のイメージアップとありますが、これも将来に向けて必要な取り組みだと思いますが、どのような取り組みを予定しているのかお示しください。
次に、緊急かつ重要な、今必要な介護についてですが、介護が必要なご当人はもちろんのこと、その身内の方の心労をどうするかが一つの社会課題ともなっています。そこで要になるのが、地域包括システムだと思いますが、
6 プランの基本方針の4にある、「地域における支援体制の確立」についての内容が含まれているかと思いますが、広報に「住み慣れた地域で安心して暮らせることを目指して「地域包括システム」の深化、推進に取り組みます」とありますが、やや言葉が漠然的すぎるので、包括システムの新たに何をどのように深化、推進していくのかをお示しください
以上、計6点の質問になりますが、ご答弁よろしくお願いいたします。
【答弁】
① 高齢者の定義についてでございますが、現在、一律な定義はなく、行政上の目的により高齢者の年齢がそれぞれ定められており、一例として「高齢者の医療の確保に関する法律」におきましては、65歳以上を高齢者としたうえで、65歳から74歳までの前期高齢者、75歳以上を後期高齢者と分けて定義してございます。
なお、本市の高年者プランにおける高年者は、「65歳以上の人」としてございます。
② 将来を見据えた高年者プランとして概ね何年先を見越しての計画となっているのかについてでございますが、全国的に総人口の減少を伴った少子高齢化が進行しており、令和7年(2025年)には、「いわゆる団塊の世代」がすべて75歳以上となり、また、令和22年(2040年)には「団塊ジュニア世代」がすべて65歳以上となることから、介護を必要とする高年者が増加し、介護給付費の上昇や介護人材の不足が深刻になると予想されてございます。そのような背景を踏まえて、中長期的な視点で、地域共生社会の実現を目指し、今期計画期間である3年間で短期的に取り組む優先的な施策と令和22年(2040年)を見据えて中長期的に取り組む施策として位置づけて、各事業を推進する計画となってございます。
③ 次に、介護資格取得補助制度の利用者数の推移でございますが、この制度は、介護職員初任者研修または実務者研修を受講した場合に、その受講費用の一部を補助するものでございます。補助を開始した令和3年度は初任者研修のみの補助で利用者数は15人、令和4年度は、初任者研修9人、実務者研修21人、令和5年度は、初任者研修5人、実務者研修22人でございます。
④ 次に、介護資格取得に関する市民の方への補助に対する市の見解についてでございますが、現在の介護資格取得補助制度は、市内の事業所における介護人材の確保及び定着や質の高い介護保険サービスの安定供給を図ることを目的としております。今年度は、新たに草加市在宅福祉センターきくの里において無料の「ケアラーズスクール」を開催しており、この講座は、全6回で介護の知識や技術、介護への向き合い方などを学ぶ講座で、現在介護をしている方だけでなく、今後の介護に備えて学びたい方など誰でも気軽に介護が学べる内容になっていることから、将来的な介護人材の育成にもつながるものと考えております。
また、介護未経験の方が事業所などに就職する際に必要とする資金を貸付し、県内の介護保険サービス事業所や施設等において、2年間継続勤務した場合は返還免除となる埼玉県の介護分野就職支援金貸付制度などもございますことから、今後もこのような制度などを広く周知してまいりたいと考えてございます。
⑤ 次に、介護のイメージアップとはどのような取り組みを予定しているかでございますが、現在、本市におきましては、小学4年生を対象とした「認知症サポーター養成講座」で、介護を身近な問題として考えてもらうほか、生活支援コーディネーターが実施する「地域の担い手研修」において、通所サービス事業所等で活躍している方から活動を通してのやりがいなどもお伝えしていただいております。
また、埼玉県では「埼玉の介護の魅力プロモーション事業」として、介護の魅力発信動画の配信やガイドブックの作成など様々な事業を実施しており、本市といたしましても、このような埼玉県の取組を周知するなどし、今後も介護のイメージアップに努めてまいりたいと考えてございます。
⑥ 最後に、「地域包括ケアシステム」の深化、推進についてでございますが、地域包括ケアシステムとは、住み慣れた地域や住まいにおいて、必要に応じて介護予防や日常生活の支援が行われ、また適切な医療や介護サービスが途切れることなく連携して提供される仕組みでございます。
この地域包括ケアシステムを構築・推進するために、これまで様々な事業を実施してまいりましたが、現行の第9次高年者プランにおける新たな取組として、住民主体の介護予防活動である「ジャンプ教室」の普及・促進を図るため、体操指導等を行う担い手を育成し、地域で活動する団体につなげてまいります。
また、認知症施策として、認知症の人やそのご家族、地域の人が安心して生活を送ることができる支援体制「チームオレンジ」の構築を目指してまいります。
さらに、在宅医療・介護連携につきましては、医療・介護関係者向けの「入退院支援ルール」について、新たに「市民向けリーフレット」の作成を進めており、入退院時における医療と介護がより一層、途切れなく受けられるよう取り組んでまいります。
【要望】
福祉部においては、市の担当課とその役割が細分化されたかと思いますが、事業の推進におきましては今回、何度か申し上げました「緊急かつ重要なこと」、「緊急ではないが重要なこと」のバランスを考え、将来を見据えた高齢者施策を展開していただくことを要望して質問を終わります。