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【草加市議会】2025年9月定例会 一般質問内容について

はじめに 一般質問内容について

・市議会 一般質問にて取り上げた内容を掲載します。

・ここでは、議場で読み上げる為の原稿を掲載しております。実際の質問の場では、若干その場で言い回しは変えている箇所もございますが、その点はご了承願います。

・実際の中継は、下記リンクよりご確認願います。

草加市議会 議会中継 川崎ひさのり一覧

 

 

上下水道について

上下水道について伺います。一般質問初日の木村議員の質問と、多少重なる部分があるかもしれませんが、ご答弁いただきたいと思います。

内容については、大きく3つ、1つ目は、埼玉県水道料金の値上げに対する草加市の対応について、2つ目は八潮市での陥没事故を受けたインフラの安全性の確保について、3つ目は令和6年度決算を踏まえた中長期的な上下水道事業のあり方と経営について、質問いたします。

  1. まず、埼玉県水道料金の値上げと草加市の対応についてです。

前段、本市の水道水源は、地下水約15%、県水約85%で構成されています。
その県水について、埼玉県は2026年4月から1立方メートルあたり現行61.78円を74.74円程度に引き上げる、約2割を超える値上げを行う見込みです。先ほど申し上げた草加市の受水構造を考えれば、この影響は避けられないかと思います。

令和7年3月の建設環境委員会においては、「給水原価が供給単価を上回る原価割れが続いている」「草加市の水道料金は30年近く改定されていない」状況に対しての質問が、佐藤りき議員よりありました。
原価割れに関しては言えば、今定例会初日の監査報告でも、令和6年度決算において給水原価は157.14円で、供給単価は146.74円との報告がありました。

3月の建設環境委員会での答弁は「料金改定は近い将来やらなければならないと認識しているが、具体的な時期は決まっていない」として、対応が先送りされている状況が示されておりました。

そこで伺います。

  • まず草加市の水道料金がどの程度の水準なのかを示す為、口径20mmで10㎥/月と20㎥/月を使用した場合の近隣市との比較をお示しください。
  • 次に原価割れの現状をどのようにお考えかお示しください。
  • 次に県水の値上げが予定されている今が、料金改定を検討する一つのきっかけにはなろうかと思いますが、委員会のあった3月以降、現在の検討の進捗についてお示しください。
  • また県水の値上げに伴い、その後はどのような経営状況になるのかお示しください。
  1. 次に、八潮市での陥没事故を受けたインフラの安全性の確保についてです。

八潮市で道路陥没事故が発生しましたが、全国的にもインフラの老朽化が着目される契機となり、草加市においても他人事ではないことは言うまでもありません。
本市でも老朽管の更新や耐震化を進められておりますが、決算を踏まえると財源確保の面で十分とは言い切れないかと思われます。

直近で公開された、草加市 公共下水道事業 経営戦略2025年〜2034年 を見れば、詳細な事業計画を確認することができます。この計画書は経営内容に付随して、安全性においても多く示唆されており、しっかりとした羅針盤となる計画書だと私は思っております。そこで安全対策面において、この計画書では読み取れない以下について伺います。

  • まず耐震化事業や更新計画はどのような優先順位で進めているのかお示しください。
  • 次に、公共汚水事業の マンホールポンプの 管理状況の確認はいつ、どのように行っているのかお示しください。
  • 次に、現在、汚水事業は下水道課、雨水事業は河川課が担っていますが、首都直下型地震や突発的災害に対応するための連携体制についてお示しください。
  • 次に、現状調査には専門知識や技術が必要だと思いますが、そのための職員研修体制はどのようになっているのかお示しください。
  1. 最後に、決算を踏まえた中長期的な上下水道事業経営についてです。

話は戻りますが、決算では、原価割れ状態が続きながら料金改定が先送りされている状況が浮き彫りになっています。
管路更新や耐震化に要する費用は膨らみ、現役世代への負担が積み上がっている状況だと思います。

そこで伺います。

  • 決算を踏まえ、草加市上下水道事業の経営上の課題をどのように認識しているのかお示しください。
  • 次に草加市水道事業ビジョン(経営戦略)では、2032年度に収益的収支が赤字となる見込みが示されています。また、補填財源は、2046年度までは30億円程度で推移するものの、2058年度は1.4億円となる見込みが示されています。 2025年現在、水道ビジョンの見通しをどのように分析しているのかお示しください。
  • 次に人口減少を踏まえた上水道のダウンサイジング(言い換えると、施設規模縮小)の検討がなされているのかお示しください。
  • 最後に類似団体と比較すると自己資本構成比率は高水準でありますが、企業債残高の現状と将来見通しについてはどう認識しているのかお示しください。

 

【答弁】

上下水道に係るご質問について、順次ご答弁申し上げます。

① 初めに、口径20ミリメートルにおける、ひと月当たりの水道料金の近隣比較でございます。令和7年4月1日時点における税込み金額で比較しますと、10立方メートルを使用した場合、本市が825円で、近隣市では八潮市が1,595円、三郷市が913円、吉川市が1,302円、越谷・松伏水道企業団が1,045円となっており、県内全55事業体のうち本市は2番目に安価な料金となっております。

また、20立方メートルを使用した場合、本市が2,475円で、近隣市では八潮市が3,025円、三郷市が2,563円、吉川市が3,062円、越谷・松伏水道企業団が2,805円となっており、県内では本市は13番目に安価な料金となっております。

② 次に、現在の原価割れしている状態をどのように考えているかについてでございますが、原価割れは水道水の製造コストを水道料金収入では賄えていないことを表しており、適正な収支の構造にはなっていとは言えない状態であると捉えております。そのため、今後はコスト削減への取組等、今まで以上に企業努力を推進するとともに、原価に見合った収益が得られるような料金体系の改正することも視野に入れながら、経営基盤の強化について検討を推進していく必要があるものと考えております。

③ 次に、3月に開催された建設環境委員会以降における料金改定の検討に係る進捗でございますが、3月26日に発行した上下水道だよりにおいて、現在直面している課題や厳しい経営環境について掲載し、水道利用者の皆様への理解促進に努めました。また、5月に開催した上下水道事業運営審議会において、水道料金収入が減少傾向であることや、県水の単価改定及び水道施設の更新に伴う多額の支出増が見込まれることを説明し、料金改定の検討時期を迎えつつあることを委員の方々と共有したところでございます。必要性について認識の共有を図ったところでございます。

④ 次に、県水の値上げに伴う経営への影響でございます。令和8年4月1日以降、県水は1立法メートル当たり税抜きで61円78銭から74円74銭へ値上げされることから、仮に令和6年度の受水量で計算しますと、県水受水費が約13億8,600万円から約16億7,600万円へ2億9,000万円程度増加することとなり、現在は純利益を計上できている状況ですが、県水値上げ後は純損失の計上が見込まれているところでございます。

⑤ 次に、下水道施設の耐震化事業や更新計画の優先順位についてでございます。

下水道施設の耐震化事業につきましては、防災拠点や指定避難所から流域幹線までの接続管や、緊急輸送路下の管路等を対象として「草加市下水道総合地震対策計画」を策定しており、災害時にも排水機能を確保するため、防災拠点や指定避難所からの接続管について優先的に耐震化を進めております。

更新計画につきましては、本市のストックマネジメント計画に基づき、年数の経過や有害ガスの滞留など、破損や劣化のリスクが高い個所を計画的に点検・調査し、その結果から健全度や緊急度等の評価を行いながら、優先度の高いものから更新を進めております。

⑥ 次に、マンホールポンプの管理状況についてでございますが、安定した運転を継続するため、年間を通した設備の保守点検業務を委託することで、ポンプ等の動作状況を定期的に確認しております。また、遠隔監視システムを導入し、常時施設の稼働状況を把握する体制を構築しており、異常が発生した場合には自動的にメールが送信され、万が一の事態にも迅速に現場へ駆けつけ、対処する体制を整えております。

⑦ 次に、首都直下型地震や突発的な災害に対応する関係課の連携体制についてでございますが、災害発生時においても下水道機能の維持や早期復旧は不可欠であることから、関係課との連携は重要であるものと認識しております。

そのため本市では、優先すべき業務を明確に位置付け、速やかに下水機能の確保を図るため、草加市下水道事業業務継続計画を策定しております。この計画に基づき、汚水事業と雨水事業が緊密に連携し、迅速に情報共有を行いながら、初動対応から復旧活動まで一体となり機能確保に努めてまいります。

⑧ 次に、専門知識や技術に関する職員の研修体制についてでございますが、下水道事業は管渠施設の新設・更新や維持管理、法制執務や経理業務など多岐にわたるため、それぞれに対応した国や埼玉県などが主催する研修への積極的な参加を進めており、特に管路の調査や設計、施工管理については、日本下水道事業団による専門的な研修を通じて高度な知識や最新技術の習得に努めているところです。

また、日常の業務においては、経験豊富な職員が若手職員を指導することで、技術の継承と職員全体のスキル向上に努めております。

⑨ 次に、決算を踏まえた上下水道事業の経営上の課題でございます。水道事業の決算につきましては、収入の減少及び支出の増加により収支が悪化し、純利益は対前年度比で約1億7千万円減少しております。また、3か年の継続事業として実施していた中根浄水場配水ポンプ棟等建設工事が完了し、その支払が発生したことなどに伴い、補填財源残高も対前年度比で約10億8,000万円減少しております。今後も収入減及び支出増の傾向は続くものと考えられますので、収支の改善が課題であると考えております。

下水道事業の決算につきましても同様に、収入の減少及び支出の増加により収支が悪化し、純利益は対前年度比で約1,700万円減少しております。また、汚水処理にかかる経費を下水道使用料でどれだけ賄えているかを示す経費回収率は100%を下回っている中、今後、耐用年数を超過する施設の増加に伴う更新費の増額により、経費回収率の悪化が見込まれるため、収支の改善が経営上の課題であると認識しております。

⑩ 次に、草加市水道事業ビジョンにおける見通しの分析についてでございますが、ビジョン策定当時においては県水単価の値上げを想定に盛り込んでおらず、水道料金収入についても当時の想定より落ち込み幅が大きく推移していることから、現状は策定当時よりも厳しい経営環境にあるものと考えております。

⑪ 次に、ダウンサイジングの検討につきましては、草加市水道事業ビジョンにおいて、次世代の水道利用者にとって適切な施設能力となるよう規模の適正化に向けた検討を行うこととしており、現在、順次進めている浄配水場耐震化事業の進捗状況や水需要を見据えながら、施設のダウンサイジングについて引続き検討してまいります。

⑫ 最後に、企業債残高の現状と将来見通しの認識についてでございます。本市水道事業は、平成13年度から令和2年度まで企業債の新たな借入れを行わずに事業運営を推進した結果、企業債残高がピークだった平成12年度末に比べ、令和6年度末の残高は約52億2千万円、率にして76.8%減少しております。一方、令和3年度以降、工事の財源確保を目的として企業債の借入れを再開しており、近年は残高が増加傾向にあります。今後も多くの更新工事を控えており、多額の財源が必要な状況を迎えていることから、企業債残高は増加傾向が続くものと考えておりますが、コスト削減を図りながら、将来負担が過度にならないよう努めてまいります。

以上でございます。

 

 

【再質問】

1 まず、本市の水道単価が近隣他市と比べ現時点で最も低水準であること、長年の経営努力の成果として、そのご尽力に、改めて敬意と感謝を申し上げます。

一方で、県水の料金改定等により、収支が悪化するとのご答弁がありました。

そこで伺います。
もし県水の値上げ分だけ料金の上乗せを、市民にお願いする場合、県水値上げ分のみの改定で足りるのか。
すなわち、県水の改定に伴う単純な同率の値上げのみで、現行のサービス水準・更新の投資計画・漏水率等をすべて据え置いた場合、収支は均衡するのか。
それとも、電力や薬品・人件費・減価償却・企業債利息等、その他の費用増を見込むと、県水改定率を上回る改定が必要になるのか、経営上の分析をお示しください。

2 ご答弁ありがとうございます。料金改定というのは中々、一筋縄ではいかないのが実状だと思います。とはいえ、収支の改善が課題である旨のご答弁でしたが、もしいざ料金改定となれば、水道利用者の負担、すなわち市民の負担が増加することにも繋がります。水道事業は公営企業ですから、利用者へ負担を求めるだけでなく、企業努力も必須であると考えます。そこで伺います。これまで実施してきたコスト削減の取組及び収益向上の取組について、それぞれお示しください。

3 ご答弁ありがとうございます。最後に、補填財源残高が対前年度比で約10億8千万円も減少しているとのことでした。今後、老朽化した施設や管路の更新工事に多額に費用を要することが容易に想像できますので、補填財源残高の減少は非常に懸念されるところです。そこで伺います。補填財源残高の近年の推移及び料金改定を行わなかった場合の今後の見通しについてお示しください。

 

 

【答弁】

① 料金改定に係る詳細はまだ何も決まっておらず、現時点で県水値上げを踏まえた具体の料金改定率を申し上げることは難しいところですが、水道事業のコストは県水の受水費のみならず、必要経費は多岐にわたり、さらには老朽化した施設や管路の更新工事も控えております。そのため、昨今の物価高騰に伴う事業運営のコスト増も水道料金の決定には大きな要素となり得ることから、引続き経済の動向を注視しながら経営分析に努めてまいります。

② コスト削減の取組につきましては、更新時における管口径のダウンサイジングのほか、より安価で丈夫な資材の採用など、工事コスト削減に向けた取組を推進しております。

また、収益向上の取組につきましては、水道管の漏水調査を強化することによる有収率向上への取組のほか、定期預金や国債購入による資金運用に努めているところでございます。

③ 過去5年間における補填財源残高は総額約50億円前後で安定して推移しておりましたが、令和6年度に中根浄水場配水ポンプ棟等建設工事が完了し、その支払が発生したことなどに伴い、令和6年度末の残高は約40億5,000万円となっております。

また、今後の見通しにつきましては、ビジョン策定当時の想定より残高の推移は悪化しており、今後も収入減及び支出増の傾向は続くものと見込んでいることから、残高の減少傾向が続くものと想定しております。

以上でございます。

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