はじめに 一般質問内容について
・市議会 一般質問にて取り上げた内容を掲載します。
・ここでは、議場で読み上げる為の原稿を掲載しております。実際の質問の場では、若干その場で言い回しは変えている箇所もございますが、その点はご了承願います。
・実際の中継は、下記リンクよりご確認願います。
財政及び事業総点検について
【質問】
これまでの財政及び事業総点検に関する質問に対する答弁を整理すると、現在実施している事業総点検の目的は、厳しい本市の財政状況を踏まえ、歳入の確保と歳出の適正化を目指し、事務の効率化を含めた事業内容の見直しを進めることで、事業改善のための一定の方向性を見出すことを目指しているとのことでした。具体的には、各部局が実施しているすべての事業の現状を把握し、事業の目的や内容を再確認した上で、事業の統合や再構築を検討し、中・長期的な視点から行政サービスの向上、公民連携の推進についても検討し、令和7年度以降の予算編成に反映する方針であるとのことでした。
点検は4段階に分けて進めており、各部署が行う「1次点検」、総合政策部が行う「2次点検」、評価が異なる事業に対しての「3次点検」、さらに外部の学識経験者や市民の方々から意見を伺う「4次点検」を行い、事業の評価は6つの視点(不可欠性、市が実施する必要性、有効性、金額の妥当性、公平性、優先性・緊急性)に基づいて検討しているとのことでした。これらの視点から、事業の現状を多角的に評価し、今後の方向性を決定していくとのことでした。
また、今回の点検作業では、担当職員が自ら事業の目的を再確認し、市民サービスの向上や業務の効率化を目指して取り組んでおり、これにより職員の業務意欲を高め、部局横断的な調整の機会が生まれ、結果として職員の資質向上にもつながるものと考えているとのことでした。事業総点検の経過や結果については、ホームページなどを活用し、分かりやすく丁寧に市民の皆様に周知して、透明性を確保し、皆様のご理解を得られるよう努めるとのことでした。
財政においては、現在、本市の状況は、民生費や過去の大型事業の借入金返済などの増加により圧迫されており、昨今の物価や労務費の高騰が追い打ちをかけている中、歳入確保と歳出の適正化を図り、持続可能な財政運営に努めているとのことでした。財政調整基金については、標準財政規模の5%から10%を確保することに多くの自治体が取り組んでおり、また実質単年度収支については黒字が望ましいとし、健全な財政状況とは、義務的支出を確保しながら、独自の施策や将来への投資ができる状況であり、この目標に向けて、引き続き財政基盤の強化を進めていく旨の答弁がありました。
そこで質問です
1 事業総点検についての、その後の進捗についてお示しください
2 事業改善のための成果測定についてお示しください
3 点検結果の公表タイミングについてお示しください
4 事業見直しの具体的な検討がどうだったのかお示しください
5 外部の学識者の役割はどうだったのかお示しください
6 市民からのフィードバックの活用はどのように行われたのかお示しください
7 財政調整基金の確保目標についてお示しください
8 中長期的な財政運営の見通しについて、 事業総点検を行ってみて、どうなのかをお示しください
【答弁】
① 事業総点検につきましては、本年3月末から作業を開始し、8月までの間に、庁内において1次から3次に渡る点検作業を実施。9月23日には4次点検として、3次点検までに行った内容をもとに、9つにテーマを集約し、市民の方々や学識経験者にご意見を伺う事業総点検会議を開催しました。
また、10月10日には、外部有識者で構成する地域経営委員会において、事業総点検での作業内容を報告し、各委員の方から、様々なご意見をいただきました。
その後、10月及び11月の地域経営推進本部会議において、4次点検及び地域経営委員会においていただいた意見を共有し、各個別事業の方向性について総括を行ったところでございます。
② この度の事業総点検では、一般会計に限定せずに特別会計等に係る事業も対象としており、その結果としましては、「事業拡大」が18、「現状維持」が403、「要改善」が222、「事業廃止・事業終了」は33となってございます。
点検作業においては、「要改善」と評価された222の個別事業を中心に、3次点検を終えた8月、地域経営委員会開催後の10月の2回に渡って、各部局室に対し見直しの検討とその削減効果に関する照会を行いました。その結果、事業費については、事業そのもののあり方についても見直しを進め、8月時点では約1億5,000万円、10月時点では6億円を超える削減が見込まれております。ただし、削減後は、事業総点検の作業に着手した今年3月時点における、各部局室の計画額をベースにしたものであることから、その後判明した人件費や物価の高騰などの影響を踏まえ、次年度の予算編成作業を進めてまいります。
③ 点検結果の公表時期についてでございますが、12月末までに、次年度の予算編成方針に合わせ、公表してまいります。
④ 事業見直しの具体的な検討についてでございますが、3次点検までの点検結果を終えた8月以降、各部局室において、次年度の予算編成作業とあわせて、改善に向けた検討を継続して行っているところでございます。
⑤ 外部の学識経験者の役割についてでございますが、4次点検として9月23日に開催した事業総点検会議においては、外部有識者としてご協力をいただいた、本市の振興計画審議会及び地域経営委員会の委員の方に、会議終了時に講評をお願いし、また、小金井市で行財政改革審議会の委員を務めている方など3名の方には、各グループのファシリテーターとして、会議の進行や意見のとりまとめ等を行っていただきました。
⑥ 市民の皆様からの意見についてでございますが、事業総点検会議では、事業が時代のニーズに合っているか、コスト縮減をするにはどうしたらよいのか、新たな収入を確保することができないか、やり方を変えて市民サービスの向上を図れないかなど、様々な視点から、市民の皆様のご意見をいただきました。いただいたご意見につきましては、10月に開催した地域経営推進本部会議において報告し、各部局室において、事業見直しの検討の際に参考とさせていただいております。
⑦ 財政調整基金の確保目標についてでございますが、当初予算において、臨時財政対策債償還基金費分に加え、5億円を残すことを目指し、予算編成を行っております。
⑧ 中長期的な財政運営の見通しについてでございますが、経常収支比率が極めて高くなっている状況や、財政調整基金残高の現状を踏まえ、将来的な財政の状況をあらかじめ推測し、継続的・計画的な対策に先手を打って取り組めるよう、他自治体の事例も参考に、中期財政計画を策定してまいります。
【再質問】
① 今回行った事業総点検は、一概には言えないと思いますが、令和7年度予算にどのように反映されることになるのか、お示しください。
【答 弁】
① 「要改善」と評価された個別事業を中心に、各部局室において、次年度以降の予算編成に向けた見直しの検討や調整を行っているところでございます。しかし、人件費や物価の高騰などの影響があることから、削減見込額そのものが令和7年度予算に反映されるものではございません。
【再質問】
② 事業の見直しの反映には、段階的なステップが必要だと考えます。事業見直しの今後のスケジュールについては、中期的な見立て、少なくとも3年から5年先までは見立てられているのかお示しください。
【答 弁】
② 令和7年度以降の予算編成への反映を前提としてはおりますが、事業の中には、上位計画との整合や、関係団体等との調整、、または、前もって市としての方針を定める必要があるものもございますことから、事業見直しの反映については3年から5年先の中長期的な期間で整理する必要があると考えてございます。
【再質問】
③ 今のお答えを受け、事業見直しについては、先3年は実施計画に合わせて現状に則した各事業のKPI(目標達成に向けたプロセスや行動を評価するための具体的な数値で表される指標)を設定して進めた方がいいのではないかと思いますが、市の見解をお示しください。
【答 弁】
③ 実施計画は、本市の基本計画の実効性・有効性を見定め、予算編成の参考とするための基準としてKPIという行政評価の指標を設定しております。この度の事業総点検では、その指標の見直しが必要と考えられるものもございましたことから、検証を図ってまいりたいと考えております。
【再質問】
④ 次に、外部有識者のご意見はどのようなものだったのかお示しください。
【答 弁】
④ 地域経営委員会の委員の方からは、市民の地方自治への参加意識を高める取組として有益であったとの意見や、市民の本音を把握できる取組として有意義であったとの意見を伺っており、施策の意思決定過程において、今回のように市民の皆様の声を聞くことについては一定の評価をいただいております。
【再質問】
⑤ 最後に、中期財政計画は、どのような内容で、財政状況を判断する上で大事な指標である、経常収支比率や財政調整基金残高についての目標設定を含めたものなのかお示しください。
【答 弁】
⑤ 現在作成を進めております中期財政計画では、本市の財政を取り巻く状況や社会経済状況とともに、主な歳入歳出のこれまでの動向と今後の中期的な予測、今後見込まれる事業費などをお示ししてまいりたいと考えております。
また、経常収支比率や財政調整基金残高の目標設定についてでございますが、他自治体の事例なども参考にしながら、何らかの目安となる指標を示す必要はあると考えております。
ドローンの活用について
【質問】
草加市における先端技術の活用は、市民生活を豊かにする新しい可能性を広げるものとして、とても素晴らしい取り組みだと感じています。その一つのドローンの活用は、その多様な用途から注目されているかと思います。例えば、災害時の迅速な情報収集や農業分野での効率化、さらに観光や地域の魅力発信など、さまざまな場面での活用が期待されます。こうした技術を積極的に取り入れ、市民とともに未来をつくる草加市の取り組みに、これからも注目していきたいと思います。
しかし、ドローン技術がさまざまな分野で可能性を広げている一方で、社会で広く活用するにはいくつかの課題が残されています。私自身、新しい技術に興味を持つ一人として、2022年12月に開始されたドローンの国家資格をいち早く取得しました。しかし資格を習得しても、いざ実際にドローンを飛ばそうとすると、多くの制約があり、思うように活用できない現状に直面しています。
そこで今回は、このあたりの事情を皆様に共有した上で、草加市におけるドローンの現状と課題についてご質問させていただきます。
まず、これから質問につなげるために、ドローンに関する知識については、皆様、普段なかなか触れる機会が少ないかと思いますので、基本的な情報を共有させていただきます。
ドローンは重量が100g未満の場合(100gはだいたい、小さめの卵2個分ほどの重さ)、一部のケースを除いて許可なく飛行させることが可能です。それでも、離着陸時に道路を使用する場合には、警察から道路使用許可を得る必要があるなど、場所や状況によっては一定の手続きが求められます。
これから私が皆様に共有する内容は、100g以上のドローン、つまり多くの方が一般的にイメージするだろうドローンについてでございます。
まずパイロットには、高い操縦技術と、業務別の運用知識、その他現場感、法令関係の知識が求められることが大前提としてありますが、特にその法令の中でも、「航空法」によって厳しく規制されています。この法律で規制している場所に関して飛行させる場合には、許可、申請が必要です。これに違反すると、かなりの重い刑事罰が課せられます。ただこの許可手続きは複雑で、飛行場所や高度、飛行目的、さらに安全対策の詳細を求められるため、許可取得には時間と労力を要します。
まとめると、ドローンを飛ばすには現状、草加市に限らず、なんだかんだ9割くらいの飛行には、なんだかんだの許可や申請が必要となると思っていただいて良いかと思います。そして、もしそれを怠ると、重い刑事罰に処せられるということです。
草加市においては説明した通り、ほぼ全ての地域がDI D地区に該当する故に、ほぼ全ての飛行に許可が必要と思っていただいてもよいかと思います。
さらには、災害時とドローンの関係についてお話しすると、ドローンの飛行に際しては、天候に大きく左右されるということを知っておいてください。雨天や風の強い日に関しては、安定飛行ができないので、例えば台風のリアルタイムに河川の状況等を確認する・・・といったようなことは、物凄い操縦技能を持った方でも、ほぼ制御不能だと思われます。
その他、夜間飛行や目視外飛行(カメラで映し出される操作画面を見て飛行)といった操縦技術は難易度が高く、通常の機体を見ながらの操縦技術とは別の資質が問われることは知っておいてください。
更には、空撮などではプライベートの問題もあり、市内のアピールをしようとしても、その配慮が必要なのが現状です。
このようにみていくと、「あれ、思ったよりドローンは簡単に飛ばせないのでは?」と思われた方もいるかもしれませんが、その通りです。ただ現状ではそうですが、将来的には規制等が整備され、機体がどんどん進化して、安全性が担保されてくれば、スマホと同じように、世の中になくてはならないものになると、個人的には思っております。
話を質問の本題に戻しますが、こうした現状がある中で、皆様が求めているだろうと思われる災害時の活用について、制度的に「本当に活用できるのかな」とかねがね思っており、市においても、そのあたりの事情がきちんと理解されていて、対処可能な状態にあるのかを確認する目的と、災害時以外での、広報用の空撮などといった、市のドローン活用・運用について質問させていただきます。
- 災害時のドローン運用における許可と手続き日本では説明した通り、ドローンの飛行が「航空法」によって厳しく規制されていますが、災害時には特例として、都道府県警察や国・地方公共団体が行う捜索・救助活動のために無人航空機を使用する際には、国土交通大臣の許可・承認を受ける必要がないとされています。この情報の詳細は、ほとんど表に出ていないのが現状です。そこでこの航空法の特例内容と手続きの流れ、また草加市では災害発生時に即座にドローンを運用するために必要な手続きがどのように準備されているのかについてお示しください
- 災害時のドローン運用について市の考えと現在の取り組み状況、また実際の運用時の体制についてお示しください
- 広報活動における活用について草加市で、風景やイベントの広報活動においてドローンを使用した空撮を行った実績、また、今後の活用予定についてお示しください
- ドローン運用に関する職員の育成について現在、担当されている職員の方の、今後の育成計画、およびその課題についてお示しください
【答弁】
①災害時のドローン運用における航空法の特例内容と手続きの流れ、また、どのような準備をされているのかについてです。
無人航空機であるドローンの飛行には、航空法等により様々なルールが定められております。
こうした中、災害時のドローンの運用につきましては、国や地方公共団体等においては、航空法第132条の92により、緊急性、公共性の観点から、飛行に係る規制や手続きなどの適用除外が認められております。
具体的には、航空機の航行に影響する地表から150m以上の空域や、人口集中地区の空域、視界不良となる夜間の飛行規制のほか、第三者が飛行区域に立ち入った際に飛行を停止するなどの措置が適用除外となります。
また、手続きについては、飛行日時や経路などを記載した「飛行計画」の通知及び日常点検記録などを記載した「飛行日誌」の作成、携行が省略できるものと定められております。
なお、航空法により、警察、消防による人命の捜索や救出のために、国が指定した「緊急用務空域」を飛行する場合につきましては、空域を管轄する国土交通省航空局に、飛行目的や飛行範囲、飛行日時などの「飛行情報」を通知する必要がございます。この通知を基に、国土交通省航空局が、関係する航空事業者に対し、情報提供を行うものとしております。
本市といたしましては、現在、大規模な地震が発生した際、本市の空域が緊急用務空域に指定された中での飛行を想定し、国土交通省東京航空局に通知が必要となる「飛行情報通知書」を整えているところでございます。
②災害時のドローン運用の市の考えと現在の取組状況、また、運用時における体制についてです。
災害対応時には、迅速な情報収集が求められます。そのため、上空からの俯瞰撮影により、広範囲に渡って情報収集等が可能となるドローンを活用することは災害対応時において有効であると認識しております。
現在、本市では、災害協定を市内の2つの団体と「災害時における無人航空機による活動協力の協定」を締結しております。
また、本年度、草加八潮消防組合では災害時の情報収集のため、ドローンの機体を購入するとともに、操縦に必要な資格の取得養成を進めていると伺っております。
ドローンの運用体制につきましては、大規模な地震が起こり、市内で家屋の倒壊や火災の発生が見込まれ、災害対策本部が被害の情報収集等を行う必要があると判断した場合には、災害対策本部作業室において協定締結団体に飛行依頼を要請するとともに、草加八潮消防組合と密な連絡・連携を取りながら迅速な情報収集を行うものとしております。
③広報活動において、ドローンを使用した空撮を行った実績、また、今後の活用予定についてでございます。
今年度の広報そうか11月号におけるSOKA LEATHERの特集記事では、皮が吊り下げられた壮観な様子をドローンで撮影した映像を紙面と連動させ、草加市公式ユーチューブチャンネルで見られるようにしたほか、草加市ホームページには、「そうか空さんぽ」として、国指定名勝である「草加松原遊歩道」や四季折々の自然が楽しめる「そうか公園」など、ドローンにより撮影した市内の様子を映像によりお楽しみいただけるページがございます。
ご指摘のとおり、ドローンを使用した撮影は、人が大勢集まるイベントや夜間における撮影では、安全面の問題、また、プライベートへの配慮など様々な課題があるところではございますが、市の魅力を様々なアプローチから発信していくために、シティプロモーションの一環として、今後も機会を見てドローンの活用を検討してまいります。
④ドローン運用に関する職員の育成についてでございますが、平時における活用を検証するため、職員による民間操縦士の資格取得を進めてまいりました。現在は、広報課、危機管理課、資産税課、文化観光課、保育課、環境課、みどり公園課、河川課、維持補修課、水道総務課、新里文化センターの11の所属において、民間資格を取得した、のべ12名の職員によって、調査の記録、施設の点検やPR映像の撮影などでドローンを活用し、それぞれの業務において、一定の成果をもたらしております。
一方、これまでの運用においては、資格を取得した職員が他の業務で忙しく、技術を維持するための訓練や操作を行う時間的余裕がなかったり、異動や出向等によって操作機会が失われたりするなどの課題も明らかとなってございます。
人材育成の方針につきましては、引き続き、活用が見込まれる業務においてドローンの運用を進めながら、その効果と課題、必要となる法的な諸条件等を検証した上で、検討を進めてまいりたいと考えております。